日本こども支援協会とは
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第6回
地域と社会への恩返し
株式会社イー・グルーブ 代表取締役
塩釜 竜太 氏
岩朝 神戸を中心に不動産の開発や賃貸事業をされておられる塩釜社長が、どのような経緯で社会貢献活動を始めたのか伺わせてもらって宜しいでしょうか。
塩佂 もともと不動産の仕事をしているので、地域が健全に発展してくれることを願っています。そのためにも子どもたちが立派に育ってくれることが一番です。仕事の観点からだけでなく、何か自分でも支援活動をしたいと思っていた時に、友人から神戸のNPOの代表を紹介されました。そのNPOはDV被害を受けた母親と子どもをサポートしています。DV被害から逃げてきた親子に対して世間は冷たく、不動産仲介業者も住宅を斡旋しなかったり、仮に斡旋したとしても環境が悪い物件しか紹介しないと聞きました。同じ不動産業界で働いている者として恥ずかしくなりました。またそのNPOが、とある企業にご寄付のお願いに行くと、男性幹部から「DV被害といった暗いイメージのテーマには支援しない」と断られたそうです。私は男性が起こした問題を同じ男性が見て見ぬふりをする状況が許せなくなりました。そして、そのNPOを支援することから始まり、児童養護施設から退所した若者や里親をサポートしているNPOを支援するようになりました。
岩朝 児童養護施設のサポートは何か思うところがあったのですか?
塩佂 私は子どもの頃、ガキ大将でした。学校の先生にもよく怒られました。学校から帰って、いつも外で遊んでいましたが、そんな中でも何か近寄りがたい雰囲気をもつ施設があるなと感じていました。大人になってからその施設が児童養護施設だと分かりました。子どもながらに、この施設の職員やそこで暮らす子どもたちに悪いことをすると、何か罰があたるような感覚がありました。今でも不思議です。それからは児童養護施設が気になる存在になりました。
岩朝 不思議なお話ですね。やんちゃな子ども時代に、何かを感じてたんですね。ちなみに、里親支援には関心があったのですか?
塩佂 そんなに詳しい訳ではございません。岩朝さんから話を聞いて、改めて問題の深さを理解しました。全国に社会的養護を必要とする子どもが42,000人もいることや、里親は約5,000世帯しかいないこと、国連から何度も勧告を受けていることなど、知りませんでした。
岩朝子どもは集団で育つ環境があれば良いのではなく、自分だけを見てくれる人に愛情をもって育てられることで、自分に自信を持つことができ、他人を思いやる気持ちを持てるようになります。子どもには大切にされた記憶が必要なのです。
塩佂 里親になるのは難しいかと思いますが、皆さん円滑に養育できるのですか?
岩朝 不適切な環境で心理的・暴力的な虐待を受け保護されてくる要保護児童は大人への不信感を強く持っていますので、一緒に生活をしても心を開いてくれるまで数年かかることも多々あります。里親の中には、あまりに精神的に負担が大きくて、途中で養育を諦めることもあります。そのような事にならないように里親へのセミナーを毎月開催し相談会も毎週開催しています。今回、塩釜さんには11月開催のORANGEWALKにもご協賛いただけるとのことで、誠に有り難うございます。
塩佂 多くの人は日常生活の中で、児童防止虐待のことを考えることは少ないと思います。11月にみんなで歩くというORANGEWALKの活動を通して、児童防止虐待への意識を高めてもらえたら嬉しいです。私も意識して歩こうと思います。
岩朝 塩釜さんのように、地域の業界リーダーが率先して活動していただけると心強いです。不動産業界の社長さんは、勢いのある派手なイメージです。塩釜社長は表面的にはそのように振舞っていても、実は心がとても優しい男気のある人だと実感しています。
塩佂 私は37歳で独立してから大変な思いをしました。会社が潰れるかもしれないというプレッシャーはしんどかったです。自分が仕事をすることで、一緒についてきて来てくれた社員が少しでも良い生活をしてほしいと願っていました。当時は周りを見る余裕がなかったです。けど、これからは自分が出来る範囲で地域と社会に恩返しをしていきたいと考えています。日本が少子化になる中で、子どもたちを大事にしていきたいです。岩朝さんがお話した「貧困や虐待は連鎖する。次世代にくりこさない。」という想いは大切です。
岩朝 有り難うございます。塩釜さんのお話のなかで、とても興味深い言葉がありました。それは「寄付は税制メリットを考えてするものではない。そんな事ならしなくていい。」という強いメッセージです。
塩佂 寄付は支援したいと思う気持ちから出てくるもので、節税が出来るとか、税制優遇があるから寄付する、といった要素は二の次です。自発的に取り組む寄付が結果として節税になるというのは分かりますが、節税メリットだけを思って寄付をするかしないかを決めるのは順番が違いますね。
岩朝 そのように力強く言ってくれる立派な経営者がいてくださり励みになります。
塩佂 国連からも勧告されているような里親支援制度は、もっと行政が関わらないといけない分野ですよね。どうやったら里親支援の活動が広まるかを考えないといけないです。不動産の業界団体の集まりで、お話いただく機会を作れば来てもらえますか?
岩朝 有り難うございます。多くの人に知ってもらえる機会があれば、喜んで参加させていただきます。
塩佂 分かりました。またその時はお願いします。応援しておりますので、引き続き頑張ってください。
岩朝 本日はお忙しい中、お時間を頂戴しまして誠に有り難うございました。健やかに育つ子どもたちが増えてくれることを願って、里親支援活動を続けていきます。これからも応援いただければ幸いです。
第6回
地域と社会への恩返し
株式会社イー・グルーブ 代表取締役
塩釜 竜太 氏
第5回
お金に「温かさ」を加え、次世代につなぐ
一般社団法人ソーシャルビジネスバンク 代表
東 信吾 氏
第4回
次の世代に渡すもの
元 ロート製薬株式会社 代表取締役専務 / 現 株式会社アンズコーポレーション 相談役
山田 安廣 氏
第3回
環境の不平等をなくす
クレディ・スイス銀行 プライベートバンキング日本代表
平尾 恒明 氏
第2回
愛情と伝統文化をつなぐ
株式会社ナカノモードエンタープライズ NMEグループ代表
中野 延市 氏
第1回
他の人と一緒じゃなくていい
一般財団法人レオ財団 理事長
橘 俊夫 氏
「里親にはなれないけれど、
子どもたちのために何かしたい。」
日本こども支援協会は、養育里親の子育てを寄付で支える「寄付里親」を募集しています。
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