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対談シリーズ

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お金に「温かさ」を加え、次世代につなぐ

お金に「温かさ」を加え、次世代につなぐ

一般社団法人ソーシャルビジネスバンク 代表

東 信吾

社会に“温かいお金”を循環させる

岩朝 東さんとのご縁はもう6年目になりますね。

 岩朝さんとの出会いは、クレディ・スイスのお客様に社会貢献活動を紹介するイベントで、岩朝さんにご登壇いただいたところからですね。当時はまだ岩朝さんが駆け出しのイメージでした。私は岩朝さんの「子ども達への想いの強さ」に大きな衝撃を受けました。

岩朝 ありがとうございます。東さんほどプライベートバンカーとしてご活躍されて、同時にNPOに深く関わっている方は少ないと思います。まずプライベートバンカーになろうと思った動機は何でしょうか?

 大学生の頃からお客様と長くお付き合いができる仕事に関心がありました。当時はまだ認知度が低かったプライベートバンカーに興味を持ちました。大学生の私は「お金持ちはきっと不動産をたくさん持っているだろう。不動産の専門家になろう。」と単純に考え、不動産鑑定士の資格取得を目指しました。りそな銀行、シティバンクPB、UBS、クレディ・スイスで長くプライベートバンカーとして働いてきました。

岩朝 そして、NPO活動もはじめられたんですね。

 2008年からNPOのスタッフとして、カンボジア、ラオス、ミャン マー等で学校建設や職業訓練、医療及び奨学金のサポートなど、幅広い分野で活動をしてきました。グラミン銀行創設者でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士とバングラデシュで自動車整備士を養成する学校の運営をしたり、複数の企業オーナーファミリーの財団等の設立や運営をしてきました。

NPOの発展を人的及び資金的にサポート

岩朝 今年1月に立ち上げられた一般社団法人ソーシャルビジネスバンクについてもお聞かせいただけますか。

 一般社団法人ソーシャルビジネスバンクは、証券会社の代理店(IFA)です。一般の証券会社と同様、金融商品仲介の手数料が弊社の収入源です。違うところは法人利益から法人税を納税したあとの内部留保を、NPOを通じて社会に還元させるところです。

岩朝 金融事業を株式会社ではなく、一般社団法人で運営するのは珍しいですね。

 営業許可を出す財務局からも「前例がない」と言われました。粘り強く説得し、最終的には私の想いを納得していただきました。というのも、出資者である私個人に利益が帰属しない形を作りたかったのです。定款では、剰余金の分配をしないことや法人の清算時における残余財産は公益法人や国、地方自治体に贈与することを規定しています。

岩朝 クレディ・スイスのプライベートバンキングを辞めて、というのも「前例がない」気がしますが・・・。退職を決意した出来事はありますか。

 確かにクレディ・スイスの管理職の方が、社会的知名度や給与は高いですね。有り難いことに、様々な富裕層と時間を過ごす中で、良くも悪くも幸せの定義を考えさせられました。そんな時、大手銀行の管理職ではなく、今までの金融経験を活かしながら、新しい価値観を創造したいと考えました。それは自身の社会的使命とも合致します。そんな訳で、迷いなく次のステップを踏み出しました。クレディ・スイスを辞めてからの方が、多くの素晴らしい方とのご縁をいただき、毎日が楽しいです。

「支援が回っている」という実感

岩朝 東さんが子どもの支援に興味があるのはどうしてですか?また、それはいつからですか?

 銀行員として働きながら、有給休暇や土日を使い、アジア各国を訪問していました。当初は見聞を広げることが刺激的で、実は子ども支援自体にあまり関心は高くなかったです。私が所属するNPOは、タイの国境沿いの街で、ミャンマーからの難民ために大学受験用の予備校を運営しています。彼ら難民の学生は、タイの高校卒業資格の認定試験に合格し、奨学金の選考で選ばれて、やっとタイの大学に行くことが出来ます。私は毎年この学校を訪問していましたが、ある時、優秀な卒業生2名がタイの大学を卒業した後に、この学校で先生として教鞭をとっている光景を見ました。その時の衝撃は忘れられません。彼らは自分の未来よりも、後進を育てることを優先していました。支援が回っている、と実感した瞬間です。それから本格的に子ども達の明るい未来には、環境の改善と支援の継続が大切だと考えるようになりました。

岩朝 困難を抱えた子ども達への環境の改善と支援の継続。私たちが大切にしていることです。東さんが目指す未来をお聞かせください。

 個人資産2,000兆円~が滞留している中、行政の手が届かない所を埋めるべく多くのNPOが活動しています。多くの富裕層と繋がりがある私は、想いのある富裕層の資金を社会に循環させる役割を担っています。同時に富裕層は積極的にNPOと繋がってほしいです。社会に真摯に向き合うNPOに、もっと多くの“温かいお金”が循環されることを願っています。一例として、ロート製薬創業一族の山田様と岩朝さんを繋ぐことで新しく「一般社団法人明日へのチカラ」が設立されました。これから多くの子供たちへの支援が始まります。私はこのような循環の”起点”となるように動いていきます。

最後に…日本こども支援協会を応援する理由、
期待することをお聞きしました。

岩朝さんの本気度は多くの人を魅了します。私は里親制度やその背景を知りませんでした。負の連鎖が続く子どもの貧困や虐待の背景にある「人の温かさ」を取り戻そうと行動している岩朝さんを尊敬しています。子どものみならず、子どもを養育している里親にも温かい支援を続けているところに、岩朝さんの懐の深さを感じます。日本の未来をつくるのは子どもたちです。里親制度の啓発と里親支援の拡充など、もっと行政が関わる必要があります。少しずつでも行政を巻き込んだ取り組みが生まれてくれば嬉しいです。岩朝さんは責任感が強く、一人で多くの事をこなしますので、ご健康には何卒ご留意ください。

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