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対談シリーズ

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環境の不平等をなくす

環境の不平等をなくす

クレディ・スイス銀行 プライベートバンキング日本代表

平尾 恒明

岩朝 平尾さんのご職業を教えていただけますか。

平尾 現在はクレディ・スイス銀行プライベート・バンキングにて、富裕層のお客様に資産運用及び事業や資産の承継に関するアドバイス等をさせていただいています。

岩朝 プライベートバンキングの特徴は何ですか?

平尾 ビジネスで成功された方がご自身やご家族の将来設計に目途が付くと、財産を自分の子や孫に承継し、それが終わった段階では、今までお世話になった社会に還元していこうと発想される方が多くいらっしゃいます。そういったお客様の社会貢献のお手伝いをすることもプライベートバンキングの特徴のひとつです。

岩朝 私たちの出会いは3年ほど前ですね。

平尾 まだそんなものですか。岩朝さんから初めて日本の子どもの実情、国連から指摘を受けていること、政策的に遅れをとっている現状を教えていただき、ショックを受けました。先進国だけに子ども達のケアはしていると思っていたので、本当に意外でした。

岩朝 私の話を聞いてすぐに「私の銀行に話しに来てください」とおっしゃってくださって、東京と大阪でお話をさせていただきましたね。あの時にいただいたご縁が今も支援者さんとして繋がっているので本当に感謝しています。

平尾 一度聞いたプレゼンでしたが、岩朝さんの話は何度聞いても泣いてしまいます。あの時も一番後ろの席で号泣していました。

岩朝 私も何度も同じ話をしていますが、毎回泣きますね。それは子どもたちがどんな思いで生きているのかを考えるとグッときます。今このひとりを救ってもまた次に…次に…「虐待を受けた子がいる、保護します」の繰り返しです。里親が必要のない社会を目指し、早くこのサイクルを止めるためにどうしたらいい?と常に考えています。

平尾 「3歳までに愛着形成が必要で、愛着形成ができなかった子が大きくなり、子どもを愛せない負のサイクルもある」と岩朝さんに教えていただき、そのサイクルを止めることは急務だと強く思いました。

岩朝 平尾さんは他の国でも活動されていますが、どんなことをされていますか?

平尾 今までは主にバングラディシュで貧困家庭に生まれた子どもを対象に、日本の自動車整備の技術を教えて独り立ちを支援し、職業人として家族を支える人を育てることをしていました。
子どもはどこの国で生まれて、どんな環境でどんな親に育てられるか、オギャーと生まれる時は全く選択肢がないじゃないですか。ある子は先進国でいい環境のもとで親の愛情をたくさん受けて育つ、ある子は日本のように先進国で生まれたけど親の愛情を受けられない子もいる。子ども達には何の罪もありませんよ。子どもたちが生まれながらにハンディキャップを持つことは不平等だと思います。親が愛情を注げないなら周りの大人たち、社会が子ども達をサポートすることが必要と考えています。私がバングラディシュ内でしている子ども支援と、岩朝さんが日本でされている活動は、共通していると思います。環境の不平等をなくすことは、日本でも世界でも必要なことです。

岩朝 そうなんですよ。死んだような目で生きている子どもがいることを知った時に、これ以上苦しいことってないんじゃないか、それは子ども達の意思ではなく、環境によってつくられています。これは大人の責任です。
平尾さんが以前コロナの件で、「先進国で生まれた者の責任として」とお話してくださったことが耳から離れません。バンクラディシュはまだコロナの第1波が伸びていて、先進国はまだ自国のことで精一杯ですが、早く次の段階へ、発展途上国のレスキューをはじめないとなって思いました。自国だけが良くていい社会ってないと思います。

平尾 そうなんですよ。コロナは最たる例で、先進国が収まっても、発展途上国がコロナに災いを受けていると、世界中の循環でまた戻ってくるので、何事も世界全体でよくしていく必要がありますね。

岩朝 そうですね。私は日本に生まれたからまずは自国から、愛着の形成とか人の心の土台づくりができる環境を、社会が子どもを支えていくシステムづくりを、人生を掛けてしていきたいです。

平尾 岩朝さんはご自身も里親をされ、個人でそこまでするのかというほどのことをされているので説得力があるし、人の心を動かすリーダーだと思います。誰かが旗を振らないとこの活動は皆さんの目に触れることはないし、岩朝さんから日本の子どもの実情を知った方もたくさんいると思うので、これからも活動を広めていただいて、みんなができることを少しずつやればもっと底上げができると思います。私も岩朝さんと出会う前は、社会的養護の家庭養育の大切さを全く認識していなかったので、知ったからには変えていきたいです。これからも応援しています。

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