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2018.05.18

理事ブログ

一番大切なお金【黒河龍二】

一番大切なお金

理事の黒河龍二です。

先日講演会で聴いたお話で、大切さとは何かについて考えさせられる内容だったので書かせていただきます。

ある施設でのお話。


その施設には、翌日で卒園する一人の少女がいました。


彼女は知的障がいを持っていました。


彼女の母親は失踪し、父親は病気で入退院を繰り返していました。


そのため施設に預けられていましたが、12歳になってもまだお金の区別が出来ませんでした。


施設を出てから彼女が困らないようにと職員が1円玉から1万円札までを順に並べて、


「このお金が5つでこれだよ。このお金が2つでこれだよ」


と一通り説明したあとに、


「この中で一番大切なお金はどれ?」


と彼女に尋ねました。


当然一万円札を指すだろうと思っていると、その子はニコニコしながら10円玉を指差しのです。


「あれあれ!」


と思いましたが、職員はガッカリした様子を見せずに、


「ごめんね。教え方が悪かったね。もう一度説明するね」


と言って、また


「このお金が5つでこれだよ。このお金が2つでこれだよ」


と説明を始めました。


その説明が終わると、職員は彼女にもう一度、


「この中で一番大切なお金はどれ?」


と尋ねました。


今度こそ1万円札を指差すだろうと周りの職員は思っていましたが、その子は嬉しそうに微笑みながら10円玉を指差したのでした。


さすがに今度はその職員もガッカリした表情で、


「どうしてこれなの?こっちじゃないの?」


と1万円札を指差しました。


すると彼女は笑いながら


「これがあるとお父さんの声が聞こえるんだもん」


と10円玉を指差したのでした。


携帯電話を持たない彼女にとって公衆電話が父親の声を聞ける唯一の手段だったのです。


この答えを聴いて、周りの職員はみんな泣きました。


『一番大切なお金』と言われて、1万円札と考える私たちより、この子のほうがよほど大切なものを知っていると思ったのです。